さくらももこの“つかみどころゼロ”短編集が面白すぎる件

はじめに ~つかみどころゼロのミステリー集~

意図のない話、つかみどころのない話というのは、なかなか人を魅了するものです。
「この話はどこへ向かうのか」
というワクワク感から、
「え…オチは?」
「なんの話だったっけ?」
と突然宙ぶらりんになる感覚がたまらないです。
今回はそんなつかみどころのない話をまとめたショート集でもある、
さくらももこさんのエッセイ「意図のない話」をご紹介します。
このエッセイは『もものかんづめ』に収録されています。
『もものかんづめ』1991年に初版が発行されてベストセラーとなり、発行部数はなんと290万部(※2024年1月時点)を誇ります。
Amazon.co.jp: もものかんづめ (集英社文庫) eBook : さくらももこ: 本
『もものかんづめ』に収録されている「メルヘン翁」について紹介している記事はこちら。
もものかんづめ名作「メルヘン翁」徹底解説|あらすじ&感想 | より笑う人生
意図のない話 概要
「意図のない話」は7つのショートエッセイで構成されています。
- その1:風船女
- その2:快便の友
- その3:オオサンショウウオ
- その4:ヤキイモジュース
- その5:四ツ谷駅の男
- その6:オヤジの遺言
- その7:青山のカフェ
各エピソードの概要をまとめました。
その1:風船女
真夜中に大量の風船と共に自転車を走らせ、知人に配るミステリー女。
目的のつかめない行動が周りを困惑させる。
その2:快便の友
深夜に突然、50センチ級のブツが出たと報告する友人。
サバを読んでいると訝しむ作者、絶対に50センチと言い張る友人は絶好状態に。
その3:オオサンショウウオ
巨大オオサンショウウオを捕獲したと豪語する男の話。
150cm級のオオサンショウウオの姿にハンターとしての血が目覚める。
その4:ヤキイモジュース
謎の飲み物“ヤキイモジュース”を飲んだという友人。
その味はまさしくヤキイモだが、発売中止となった今は、そのジュースの完成度を伝えられる生き証人は彼女だけである。
その5:四ツ谷駅の男
昼下がりの四ツ谷駅ホームで酔客が構内マイクで演歌を熱唱。
その6:オヤジの遺言
友人の父が臨終の間際にある言葉を絶叫。
その遺言の意図の掴めなさに遺族は困惑する。
その7:青山のカフェ
おしゃれな青山カフェで別れ話真っ最中の作者。
重いムードに酔いしれていたが、隣席のサラリーマンが…。
青山のカフェを読んで ~酔いしれるカップルと馬鹿サラリーマンの対比~

全エピソード面白いのですが、
その中でもわたしのお気に入りのエピソード「青山のカフェ」を紹介します。
青山のカフェで彼氏との別れ話中…。
重いムードが流れますが、青山のおしゃれなカフェにいるせいか、その空気に酔いしれるさくらさん。
しかし隣席のサラリーマンが突如声を上げます。
「それでは私、小便をして参ります」
さくらももこ. もものかんづめ (集英社文庫) (p.115). 株式会社 集英社. Kindle 版.
そんな中、なんとか再度深刻なムードを取り戻して気だるい雰囲気に自己陶酔するさくらさんでしたが、先ほどのサラリーマンが…。
この先はぜひ実際に確認してください。
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さいごに
今回はさくらももこさん著『もものかんづめ』より、
「意図のない話」を紹介しました。
この他にもくすくすと笑える話がたくさんあるので、ぜひ手にとって読んでもらえたらと思います。
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『もものかんづめ』に収録されている「メルヘン翁」について紹介している記事はこちら。
もものかんづめ名作「メルヘン翁」徹底解説|あらすじ&感想 | より笑う人生